こんにちは、めてめてです。今回は美容クリニックのインセンティブ制度について、活用と注意点について解説していきます。
給料UP制度のインセンティブ。美容看護師にとっては特に魅力的な制度ですが、嬉しいことばかりではありません。インセンティブ制度が導入されている意味もしっかり理解しておくことが美容看護師として大切です。今回はそのことについて理解を深めることができます。
ぜひ最後まで見ていってください。
めてめて
- 現役美容看護師
- 美容看護師歴7年目
- 管理職、教育、採用担当
- 医療と経営の両視点から美容医療を経験
- 大手系〜個人系まで多種多様の美容クリニックで勤務経験あり
始めに
美容クリニックは営利目的の企業であるため、成果に応じた給料制度が採用されています。そのため基本給＋各種手当という形態のところが非常に多いです。そしてその手当でもっとも目を引く存在が「インセンティブ制度」になります。
インセンティブ制度とは目標達成に応じて、スタッフに報奨を与える制度のことです。つまり頑張りに応じて給料が増えるという一見、非常に画期的なシステムに見えますが、このインセンティブ制度、当然気をつけておくことがあります。
今回のテーマでは美容クリニックのインセンティブ制度について解説していきます。インセンティブ制度への理解を深めて有効活用していきましょう。
美容クリニックのインセンティブ制度と理想の関係性を築くことで給料の安定感を高めることができます。それにより金銭的理由から長く安定して働ける美容看護師の実現に繋げることができます。
インセンティブについて詳しく知りたい、考えてみたい人は今回の内容を参考にしてみてください。
- 美容看護師のインセンティブ制度について。
- インセンティブ制度のメリットについて。
- インセンティブ制度のデメリットについて。
- 美容クリニックのインセンティブ制度との理想の関係性について。
美容看護師のインセンティブ
まずは美容クリニックにおける美容看護師のインセンティブ制度についてです。
一般には個人の成果や実績に応じて個人に金銭的報酬を渡すのがインセンティブ制度ですが、美容クリニックでは特定の場合を除いて、チーム及びクリニック全体で獲得した成果を、それに属している人材全員に還元させるインセンティブ制度になっています。
というのも美容看護師は職種上、直接自分で施術の契約を獲得するなどして、売り上げを作ることを主体的にできる立場にありません。特定のクリニック除けば売り上げを作れる機会はあったとしても施術中に施術や物品を斡旋できるぐらいです。
基本はクリニック所属のカウンセラーがお客様と金銭交渉をして契約を取ります。そして契約内容のものをそれ通りに提供するのが美容看護師の職務です。そのため個人で獲得できる金銭的な成果というものが非常に限定的となるので、多くのクリニックでは個人ではなく、全体の成果によって配当金の変動があるインセンティブ制度が適応されます。
その特徴を踏まえて美容看護師におけるインセンティブのメリット、デメリットについて以下で解説していきます。
インセンティブのメリット
美容クリニックのインセンティブ制度のメリットについてです。
- モチベーションの向上や維持がしやすくなる。
- 立場に関係なく権利がある。
- 仕事の目的を獲得できる。
モチベーションの向上や維持がしやすくなる
インセンティブ制度の導入はスタッフのモチベーション向上と維持に役立ちます。
働く目的や理由においてお金というものは非常に大きな存在です。お金のために仕事をしているという人も少なくないでしょう。そのためお金を直接的に増やすことができる制度は、スタッフのモチベーション向上や維持に有効的であり、インセンティブ制度によりその効果を得ることができます。
インセンティブは成果に応じて支給額の増減があるため、成果が直接金銭的な評価に繋がります。そしてお金という明確な結果が出るためスタッフがより率先して仕事を頑張りやすくなります。
またインセンティブは賞与などと比べて、月単位などの比較的短期間でその結果が反映されるため、成果がすぐに目にみえる形で評価されるという特徴もありため頑張るモチベーションが途切れにくい傾向にもあります。それらも含めてスタッフのモチベーションの向上と維持がしやすくなるメリットがあります。
立場に関係なく権利がある
チームやクリニック単位でインセンティブが獲得できるという特徴から、勤続年数や、役職などの立場に影響されることなく一律でインセンティブの恩恵を得られる権利があります。
美容クリニックのインセンティブは立場による金銭的な差異が少なく、目標達成をすれば、どの立場のスタッフでも一律で同額を受け取ることができる傾向にあるため、成果に対する金銭的不平等が起こりません。
それこそ固定給や賞与は役職や勤続年数などの立場により金額が増減するため、その立場にならないと金銭的評価として還元はされませんが、美容クリニックのインセンティブではそれがなく、成果が一律で金銭的評価とされるため、全体のモチベーションの向上や維持がしやすくなるというメリットがあります。
仕事の目的を獲得できる
インセンティブ制度を設定することで、仕事の目的意識を持つことができます。
インセンティブは成果に応じた金銭的な評価や還元を期待できます。つまり成果を出した分だけお金がもらえるという至ってシンプルなシステムであり、お金のために仕事をするという仕事の目的を獲得することができます。
仕事をする上で目的、目標がないというのはそれだけで長く働くことを困難にします。無理矢理目的を設定したとしてもそれを継続することは難しいでしょう。
そこでインセンティブ制度があれば、少なからずお金を得るためという仕事の目的意識が持つことができます。仕事の大きな目的の一つはお金を得ることであるため、他に明確な仕事の目的がない人でも、とりあえずお金のために頑張るという目的が自然と獲得できます。
その「お金のため」という明確な目的を持ってもらうことで、モチベーションの維持や向上に繋げることができるのがインセンティブのメリットになます。
インセンティブのデメリット
次に美容クリニックのインセンティブ制度のデメリットについてです。
- 金銭的な考えが第一優先になってしまう。
- 医療の安全が脅かされる。
- 目標設定が高くなりストレスになる。
- モチベーションを下げてしまう恐れがある。
金銭的な考えが第一優先になってしまう
インセンティブ制度は特定の成果に対して金銭的報酬を支払う制度です。
そして美容クリニックにおける特定の成果とは「売り上げ」になります。そのためインセンティブにより売り上げに直結する業務や取り組みは積極的にされやすくなりますが、売り上げになりにくい、関わらない業務などが軽視されてしまうことが起きやすくなります。
特に問題となるのが、インセンティブに繋がりにくい業務がたらい回しになってしまうことや、末端のスタッフにそれら雑務を積極的に押し付けてしまうなどの、スタッフが適切な業務をすることや平等に仕事をすることを阻害してしまうことがあることです。
こうなってしまうといくらクリニックで評価され、インセンティブをもらったとしても、その特定の成果に貢献できなかったスタッフ個人の評価は低いものになりますし、居心地が悪くなったり、肩身が狭い立場になってしてしまうこともあります。
頑張りがお金になるインセンティブ制度であるからこそ、必要だけどお金に直結しない業務がおろそかになってしまうことはデメリットになります。
医療の安全性が脅かされる
美容クリニックにおけるインセンティブ制度の主な目的は売り上げを積極的に作ることです。
しかし注意しておきたいことが売り上げのみを求めすぎて、お金と安全の双方のバランスが崩れてしまうことがあるということです。
つまりインセンティブ制度があるせいでお金のために医療の安全を軽視した環境になりやすくなります。
特に医療を提供するにあたって絶対安全を第一に考慮しないといけない医療者ですらもインセンティブのために金銭的な感覚に偏ってしまうことがあり、クリニックがその考えを主体としていると安全を脅かす非常に危険な労働環境になります。
特にインセンティブに積極的なクリニックほどこの傾向が強くなるため、医療安全を保てなくなることがデメリットになります。
目標設定が高くなりストレスになる
インセンティブ制度は特定の目標を達成した場合に金銭的評価の還元が期待できます。しかし、その特定の目標の設定をしているのは常にクリニックの裁量によるものです。
つまりインセンティブを比較的容易に達成できるような目標設定にすることも、無理をしないと達成できないような目標設定にすることも、全てクリニック側の采配次第ということです。
そもそもインセンティブを支払うというのはクリニックにとってはマイナスの取り組みです。余分な出費となので、簡単な条件で多額を渡してしまうようなことは基本ありません。膨大な統計データから、それなりの成果を作った時にようやく還元できるという目標設定に調整されていることが殆どです。
そのため常に成果を作り続けないといけない目標設定をされます。そして成果を作れば作った分だけその次の目標が高くなってしまい、インセンティブによりどんどん仕事の負担やストレスが増えていくことがありそれがデメリットになります。
モチベーションを下げてしまう恐れがある
メリットのところでモチベーションの向上や維持に繋がると解説しましたが、インセンティブ制度が逆にモチベーションを下げてしまうこともあります。
その原因は大きく2つあり「目標が達成できなかった場合」と「頑張ったのに成果にならなかった場合」です。
インセンティブというのはクリニック側が設定した目標を達成した時に初めて金銭的な還元を受け取れます。つまりどれだけたくさん頑張ったり貢献したりしても、売り上げなどのインセンティブに直結する成果に結びつかず、目標が達成できないことには金銭を受け取ることができません。
特にインセンティブの目標はクリニックが膨大なデータから絶妙に設定するため、想像以上の業績を出してたくさんお金が貰えるといったことは殆どなく、時にはギリギリ目標が達成できなかったということも十分にあります。
つまり頑張ったのに思い通りの成果が得られず、頑張りが金銭的評価、還元に結びつかず逆にモチベーションを下げてしまうというデメリットになることもあります。
美容クリニックのインセンティブの理想
美容クリニックのインセンティブ制度のメリット、デメリットについて解説しましたが、それらを踏まえて、美容クリニックにおけるインセンティブ制度との理想の立ち位置についてになります。
それは「インセンティブを貰わないと給料の余裕がないのであればあり、ただしそれが厳しい目標の上で設定をされているのであればなし」というのが理想的でしょう。
そもそもインセンティブというのは一種の手当です。手当というのは結局なところクリニックの裁量でどうにでもコントロールができるものであり、かなり不安定なものです。特にインセンティブは毎月決まった額が得られるという保証もないため、特に不安定感は強いものでしょう。
そのためインセンティブを貰わないと生活が厳しい、しんどいといった給与形態であれば、その制度があるうちは働き方が安定することはなく、インセンティブを獲得するために、間違った判断や危険な判断をしてしまうことも必然的に多くなってしまいます。
確かにインセンティブがあることでモチベーションの向上、維持につながりますが、それは目標を無理なく順調に達成できた場合に有効なことであって、金銭だけに依存するためのものでは決してありません。
基本はインセンティブではなく、クリニック側が手出しのできない基本給に重きを置き、その上でインセンティブは頑張った分をついでに貰えるぐらいの立ち位置が医療者としては望ましいでしょう。
最後に
今回は美容クリニックのインセンティブについて解説しました。
美容クリニックは営利目的の組織であるため、スタッフの意識が売り上げ獲得を優先的に向くようインセンティブを導入しているところが多いです。
インセンティブ制度は頑張りがお金になる非常に魅力的な制度ですが、医療者にとってはただお金がもらえるだけの優遇制度では決してありません。メリット、デメリットがしっかりとある、クリニックの立派な職場戦略です。お金というものに釣られて本質を見誤らないようにしておきましょう。インセンティブ制度に依存しない距離感が特に大事です。
インセンティブの制度を正確に理解して、スタッフのためにきちんと活用できるクリニックで働くことで、長く安定した美容看護師の実現に繋がります。インセンティブと理想の関係性を築けるクリニックに身を置いておくなど、転職の際はしっかりと事前情報を確認しておくことも非常に大事です。
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今回の内容が美容クリニックのインセンティブの理解と美容看護師からのインセンティブの立場についての理解が深まると嬉しく思います。
まとめ
- 美容クリニックはインセンティブ制度を導入しているところが多い。
- 美容看護師のインセンティブはクリニック全体での売り上げで評価される場合が多い。
- インセンティブ制度はモチベーションの向上、維持に役立ち、誰でも平等に制度の恩恵があり、金銭的な目的意識を持つことができる。
- インセンティブ制度は業務の偏りや、安全を軽視することに繋がる可能性があるため注意が必要。
- インセンティブ制度により成果達成目標が高くなり、モチベーションが下がることがある。
- 医療者としてはインセンティブ制度に依存しない給料のもらい方が理想的。
医療者としては不安定なインセンティブに依存しない給料形態が理想的です。基本給を上げれることを最優先に、インセンティブはおまけ程度の距離感で見据えておきましょう。
最後まで読んでいただきありがとございました。
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